「神山高校文化祭」通称"カンヤ祭"。多種多様な文科系クラブが存在する神山高校の生徒にとって、年に一度の一大イベントである。折木奉太郎が所属する古典部でも文集「氷菓」を売ることになっていたのだが、手違いで予定よりも大量に作りすぎてしまう。なんとか「氷菓」を完売させようと、文化祭を走り回る部員たち。そんな中、学内では〈十文字〉を名乗る人物が奇妙な連続窃盗事件を起こしていた。
それを知った奉太郎はこの事件を「氷菓」完売に利用できないかと考える…







前回「愚者のエンドロール」での後半のグダグダした感想を一切撤回していいほどの良作でした。
作者の米澤氏も後書きでおっしゃっていらっしゃるように、この物語の主役は「文化祭」そのものです。「古典部」の4人、奉太郎、里志、える、摩耶花、それぞれの視点で語られる文化祭。文化祭独特の雰囲気、あの浮ついた感じやワクワク感が上手く出ていたと思います。実際読んでいてすっごい楽しかった。
また、各人の視点になったことで奉太郎以外のキャラもぐっと掴みやすくなったのも◎でした。

あとは、いくつか個人的に気になった些細な事を。
・前作「愚者のエンドロール」や最近読んだ我孫子武丸氏の「8の殺人」もそうだったんですが、和書ミステリには海外の古典ミステリ(といっていいのかな?)が登場する事が多いんでしょうか?知らなくても問題なく読めますが、やはりある程度抑えておいたほうがより物語を楽しめそうですね。今読んでる文庫本がある程度片付いたら、今度はそちらの方にもアンテナを張ってみたいと思います


・実は本作のタイトル「クドリャフカの順番」の「クドリャフカ」の部分に反応してこの本を手にしたのですが、本編では「クドリャフカ」という単語自体には重要な意味がなかった(ように思えた)のが少し残念。作者がなぜ「クドリャフカ」という単語をチョイスしたのか、すなわち安城春菜の考えたABC殺人事件を一ひねり二ひねりした漫画原作とはどのようなものだったのか、ちょっと考察してみたら面白いかもしれません。




最後に最近の読書記録でも。

氷菓/米澤穂信
愚者のエンドロール/米澤穂信
クドリャフカの順番/米澤穂信
探偵倶楽部/東野圭吾
8の殺人/我孫子武丸


せっかくの夜長なので月十冊を目指して読んでいきたいと思ってます。


じゃ、また気が向いたときにノシ


今日のBGM:君の街まで/ASIAN KUNG-FU GENERATION

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